強い痛みがあるということで当院に来院した際、左下の奥歯には虫歯があり、すでに歯の神経に達している状態でした。このような場合、神経を除去しなければ痛みは治らないため、炎症を起こしている歯の神経を除去し、根管充填※1を行いました。その後セラミックスインレーを装着し、その歯の治療は終了しました。主訴の部位が一段落したこともあり口腔内を全体的に調べたところ、プラークコントロールの不良により、歯肉の炎症が強く認められる部位が多く存在しました。
※1 神経を除去した根管に薬を詰めること
この患者さんの場合、歯間乳頭という歯と歯の間の歯肉の三角形の部分の炎症が特に強く、検査のために歯肉に触れるだけですぐに出血するような状態でした。これは歯周病の中でも若い方に多く認められる「歯肉炎」という状態です。
さらにレントゲン画像や口腔内診査で歯肉の炎症の原因を調べると、患者さんのプラークコントロールだけでなく、以前治療した被せものや詰めもの周りに虫歯ができていたり、それらの適合状態が不良だったりと、その他の原因もわかりました。
そこで歯周病の基本治療として、患者さんのプラークコントロールの改善、プラーク・歯石の除去、不良修復物と虫歯の改善などを行いました。
初めに根管治療を行った歯の手前の歯には根尖病巣が認められたので、根管治療から行い、審美的なクラウンの装着を行いました。
患者さんのブラッシングの改善、むし歯や不良修復物の治療などにより、プラークコントロールが向上し、歯も歯肉もきれいになりました。
この患者さんも当てはまるのですが、小さなお子さんをお持ちの方は自分の時間をゆっくり取れず、ブラッシングの状態が悪化してしまうことがあります。その場合は、歯科医院の定期的なメインテナンスでフォローしてもらうことをお勧めします。この患者さんも当院のメインテナンスを受けていただいており、今後は左上の銀のクラウンの改善も検討しています。
確実にむし歯を除去して、適合のよい修復物を装着して、患者さんのプラークコントロールの手助けをしてあげれば、このように歯肉はきれいに治ります。
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