GTR法による歯周病治療
GTR法とは
GTRメンブレンという特殊な膜で、歯周病で破壊された部分を覆い、歯周組織が再生するスペースを確保します。通常の歯周外科治療を行っても、一度破壊された歯周組織は元のように回復しません。それは、骨よりも歯肉の方が回復するスピードが速く、本来骨が回復するはずのスペースに歯肉が入り込んでしまうからです。特殊な膜で、歯肉が入り込まないようにスペースを確保することで、歯周組織の再生を誘導するのがGTR法です。
1982年より臨床応用され、世界各国で行われている方法ですが、膜の設置に高度なテクニックが要求され、歯周外科治療の経験が必要です。
臨床例 1 垂直性骨欠損に応用した症例
治療前
矢印で示した部位の歯槽骨が垂直的に溶けてしまっています。
GTR法による歯周組織再生療法
歯周基本治療後に、歯周組織再生療法であるGTR法を行いました。写真のように、歯槽骨の欠損部を覆うようにメンブレンを設置します。
治療後
GTR法により深い歯周ポケットは改善し、レントゲン写真において歯槽骨の再生が認められます。
臨床例 2 根分岐部病変に応用した症例
歯根が分岐している箇所のことを根分岐部といい、歯周病などにより根分岐部の歯槽骨が破壊された状態を根分岐部病変といいます。
根分岐部病変が深くまで進行してしまうと、プラークコントロールが困難になるばかりでなく、器具の到達性不良から治療も不完全になりやすく、予後が悪いです。再生療法を応用することで、より良い予後を期待できることがあります。
治療前
根分岐部病変を認め、矢印で示した部位の歯槽骨が溶けてしまっています。歯周ポケットを測定する器具(プローブ)を挿入すると、深くまで入ります。
GTR法による歯周組織再生療法
歯肉を剥離すると、根分岐部の歯槽骨が溶けて、トンネルのようになっています。
治療後
歯周ポケットは改善し、根分岐部の歯槽骨も回復しました。プローブも深く入らなくなっています。