歯周病の予防

歯周病は治療しても完治はしない!?

歯周病治療のメインテナンスは治療の一部です。歯周病によって破壊された歯周組織は、完全に元の状態に戻るということはなかなかありません。深い歯周ポケットも治療によって浅くなりますが、すべての部位が健康な状態である1~3mmの状態になるとは限りません。治療によって、歯周病の進行が停止している状態と捉えたほうがいいでしょう。

そのため、せっかく治療が終わっても、そのまま放っておけば、またプラークや歯石が歯周ポケットに溜まり歯周病が再発してしまいます。

メインテナンスでは、患者さんに定期的に来院していただき、歯周病や虫歯のチェックを行うだけでなく、毎日のブラッシングで取りきれないプラークや歯石を除去します。それにより、歯周病や虫歯のリスクを減らし、長期的に安定した状態を維持することが可能となります。

3カ月に一度のメインテナンスが理想的。欧米で浸透する予防治療

歯周病になったことのある患者さんのメインテナンスは3ヵ月に一度受けていただくのが望ましいです。それは、歯周ポケット内の歯周病菌は、スケーリングをすると減少しますが、3ヵ月もすると元の状態に戻るという報告があるからです。

日本では、患者さんは治療のためだけに歯科医院にいらっしゃることが多く、痛みなどが無くなると来院が途絶え、数年後に悪くなるとまたいらっしゃるということが繰り返されています。これでは治療の連鎖が断ち切れません。欧米では、予防やメインテナンスという考えが浸透しており、歯科医院にメインテナンスに行く方の割合は80~90%です。

当院で行うメインテナンスの流れ

口腔内診査

歯周ポケットの深さ、歯肉の炎症の有無、歯の動揺度、プラークコントロール、噛み合わせ、むし歯の進行などを診査します。

メインテナンス毎に診査をしっかり行うことにより、歯周病の病状が安定しているのか、それとも悪化しているのかを把握することができ、早期に適切な治療が行えるため、歯周病の進行を防ぎ、口腔内の健康を保つことが可能となります。

口腔衛生指導

歯周病やむし歯を予防するためには、患者さんのセルフケア(プラークコントロール)が最も重要となります。患者さんに適したプラークコントロールの方法を、専門的知識を有する歯科衛生士がアドバイス致します。

プロフェッショナルケア(PMTC)

超音波機器や専用ブラシを用いて、歯に付着したプラーク・歯石・沈着物を除去し、歯肉の健康維持やむし歯予防を図ります。特に歯周ポケットが残存している場合は、セルフケアだけでは歯周病の進行を抑制することが難しいこともありますので、プロフェッショナルケアによるポケットメインテナンスが重要になります。

歯周病は、ケアを怠ったり、免疫力が低下したりすると再発してしまう病気です。しっかり治療をしても、その後の対応次第で経過は変わってきます。

日本人の多くが、数ヵ月に一度は髪を切ったり整えたりするのに、なぜお口の中は定期的にクリーニングを受けたりしないのでしょうか?高齢になられても、歯がしっかり残っていて何でも食べられる方は、元気で自立した生活を送っている方が多いと報告されています。

どんなにいい入れ歯やインプラントでも、自分の歯に勝るものはないと思います。失ってから後悔しないように、今あるご自身の歯を大切にしていきましょう。

生涯、みなさまの歯の健康に寄与します

行った治療が長持ちするのを願うのは、患者さんだけでなく、私達も同じです。数年後に来院した時に、だいぶ悪化してしまっている状態を見るのはとても悲しいものです。定期的なメインテナンスをおすすめする気持ちには、自分達の行った治療の「その後」に責任を持ちたいという意思表示が込められているということです。私達の治療が、患者さんのお口の中で長く役立ち、健康的な生活を送っていただけるのはとても幸せなことです。